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Happy-Go-Lucky Дневник

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2016年12月21日 新ブログ開設!


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三井記念美術館で、フィラデルフィア美術館浮世絵名品展を見てきました!

平成27年(2015年)7月21日(火)

 こないだの土曜日18日、東京・日本橋室町にある三井記念美術館で、「フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」を見にいきました!

 

 これは、錦絵(後述)が誕生して今年で250年ということで企画された美術展で、浮世絵を4000点も所蔵するアメリカ・ペンシルバニア州フィラデルフィア市にあるフィラデルフィア美術館のコレクションの中から、今回150点が日本に”里帰り”して、国内3都市(東京・静岡・大阪)で開催されることになったものなのです。

 

 江戸時代初期の肉筆浮世絵や単色摺の墨摺絵から、鈴木春信らが考案した多色摺木版画の錦絵、黄金期の鳥居清長、喜多川歌麿の美人画、江戸時代後期の葛飾北斎や歌川広重の風景画、さらにあまり見る機会のない京都・大坂の上方浮世絵まで、浮世絵の歴史の概要が一通りわかる展示になっていました。

 

 とくに、鈴木春信の作品30点余りは極上の保存状態のものが含まれ、歌舞伎役者や遊女を描いた東洲斎写楽の希少な大首絵も10点展示され、浮世絵ファンにはたまらない美術展になっているのです。

 

 場所は、日本橋三越隣りの三井本館7階、開催期間は8月16日(日)まで、今日7月21日(火)と月曜日は休館、開館時間は朝10時から夕方5時(入館は4時半)まで、入館料は大人一人1300円、70歳以上1000円、大学生・高校生800円、中学生以下無料、その他リピーター割引などあり、となっています。

 

 東京の後は、8月23日(日)〜9月27日(日)まで静岡市美術館で、10月10日(土)〜12月6日(日)まで大阪・あべのハルカス美術館で開催されることになっています。

 

👇三井記念美術館前から、日本橋方向をパチリ!右手のパルテノン宮殿みたいな支柱が立ってる建物が三井本館、その奥が日本橋三越、その先が日本橋です。

三井本館は、江戸時代の越後屋があった場所で、今でもこのあたりは三井グループの拠点となっていて三井系の企業が点在し、「三井村」なんて通称もあるくらいなんです。

三井本館は、三井財閥の本拠として建てられた旧・三井本館(明治35年竣工)が関東大震災で壊れてしまったため、昭和4年に竣工したもので、イタリアのベネチア産の大理石を使った新古典主義様式の外観を持ち、大地震にも耐えられる重厚な建物となっていて、国の重要文化財に指定されています。

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👇美術館の前にはポスターも貼ってありました!

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👇美術館の入り口です。

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👇中に入るとなんとびっくり、ビルの中に竹が生えていました^^;;

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👇竹の麓には、パンフレットがたくさん!

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👇左手奥に、宝塚の大階段風の階段がありました。

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👇階段を上ると、専用エレベーターで7階へ、という案内板がありました。

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👇エレベーターも歴史の重みを感じさせる重厚なもの。「マスク展」の東京都庭園美術館もそうでしたが、建物自体が文化財の美術展って、一粒で二度美味しいシステムになってますよね〜。もし行かれたら、建物もよく見てきてください^^

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👇7階に着くと、鹿の夫婦がお出迎え。これは、動物を題材にした像を作成した彫刻家の池田勇八の1924年(大正13年)作のブロンズ像だそうです。

美術展は当然写真NGでしたが、館内写真NGという表示は特に見当たらず、他に写真を撮っていらした方もいたので、私も遠慮なく撮ってきちゃいました^^

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👇通路にはこんなものも!これは書庫の扉で、今は使われていない、とのことでした。アメリカのモスラー社製で、三井本館内には大小24の金庫・書庫が設けられ、全てにモスラー社製の扉が使われているそうです。建設当時は、アメリカから来た監督のもと、日本人の職工が取り付け作業を行ったそうです。

また、三井本館内にある三井住友銀行日本橋支店や三井住友信託銀行日本橋営業部の金庫の扉は、現在でも実際に使われているそうです。

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👇ロビーでいただいてきたパンフレット(裏面)です!

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 浮世絵というと、カラフルな色で表される木版画、というイメージがありますが、浮世絵の定義としては、江戸時代に起こった、庶民向けの、当時の風俗や生活を題材にした絵のことで、直接筆で描く肉筆浮世絵も含まれます。

 

 ただ、肉筆では大量生産ができず、商売として成り立ちませんので、版画という大量生産ができる手法が主流になりました。でも、初期は技術的な問題から、黒一色の墨摺(すみずり)絵や、墨摺絵に筆で赤の顔料を塗っていく丹(たん)絵や紅(べに)絵しかありませんでした。

 

 その後、時代が進むと、2、3色の重ね刷りである紅摺(べにずり)絵なども登場しますが、なんといっても浮世絵のエポックメーキングになったのは、18世紀中盤の錦(にしき)絵です。

 

 当時は太陰暦を使っていたため、月によって30日ある大の月と、29日しかない小の月がありました。それで、その月の大小を知るために、文盲者でもわかるように制作されたのが絵暦(盲暦)と呼ばれるものです。

 

 この絵暦は、実用だけでなく美術品としての価値も持ち、風流人の間では絵暦交換会が流行しました。そして、明和2年(1765年)に開かれた絵暦交換会では、浮世絵師の鈴木春信を中心とするグループが、多色摺木版画の新しい技法で描かれた絵暦を披露し、大評判となります。

 

 これは、版画の原板(版木)に「見当(けんとう)」というマーキングを付ける、という発明によって、いろんな色を1枚の紙の上に重ね刷りすることが可能になり、その絵は従来のものに比べて、錦織のような華美さ、豪華さがあるということで、錦絵と呼ばれるようになったんです(ちなみに、現代でも使う「見当をつける」という言葉はこれが語源)。

 

 これ以降、江戸の浮世絵は大発展を遂げ、原画を描く浮世絵師のほか、版木を彫る彫師、紙にプリントする摺師、さらには蔦屋重三郎のような大手版元(出版社)も現れ、分業化されたことでますます大量生産が可能になり、江戸の町の絵草紙屋(本屋)にも商品が安価で供給され、フルカラーの印刷物を庶民が楽しむという、当時世界でも類を見ない文化が確立していくのです。

 

 明治時代になって鎖国が解けると、日本から海外に絹織物などの製品が輸出されるようになります。その時、包装紙や梱包材に使われたのが浮世絵だったのです。

 

 今となっては、国宝級の絵を包装紙に使うなんて!と思いますが、当時は前述のようにとてもポピュラーな印刷物で、今でいう雑誌感覚だったんだと思います。今だって、荷物送る時、新聞紙を丸めたりするでしょ?

 

 ところが、今まで日本とほとんど交流がなかった欧米の人は「日本の梱包材、レベル高すぎるだろっ!」って感じで騒然となり、空前のジャポニズム・ブームが起きるのです。

 

 しかし、悲しいことに、文明開化で浮かれていた当時の日本人は、江戸の文化は野蛮で遅れたもの、西洋の文化は進んでいてオシャレ、と考えていて、浮世絵にはほとんど美術的な価値を見出さず、大量の浮世絵が海外に流出したのです。

 

 だから、フィラデルフィア美術館にも4000もの浮世絵が所蔵されている、というわけなのです。江戸時代に浮世絵の制作に関わった人は、この世にフィラデルフィアなんて町が存在してるともわからないし、まさか自分の作ったものがそこの美術館に所蔵されるなんて、夢にも思わなかったでしょうね〜^^

 

 でも、日本で価値を見出されなかったものが海外に渡って大切に保管され、多くの人の目に触れる、というのは、結果的にはとても良かったと思います。

 

 私の憶測ですが、多くのアメリカ人は、戦後、我々が日本に自由で文化的な社会を作ってあげたと思っていて、戦前やましてや明治維新前の日本文化なんて、相当野蛮で遅れたもの、と考えている人が多いんじゃないかと思うんです。そういう人たちが、江戸時代の素晴らしい日本独自の絵を見て、「日本人ってステキ❤️」って思ってくれれば、最高だと思いました。

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 ところで、日本の家電メーカーの凋落ぶりがすごいですよね〜^^;;

 

 とくに主力商品のテレビは世界的に見ると、日本の家電メーカーは全くシェアを取れていません。1990年代後半には、世界のテレビ売上の8割が日本メーカー製だったのに、21世紀に入ると、韓国メーカーの攻勢、さらに台湾、最近では中国のメーカーにも押されて凋落の一途をたどっています。

 

 ブラウン管時代と違い、液晶テレビは比較的簡単に製造できると言われています。それで、韓国のサムソン電子やLGといった会社は、ざっくり言うと、多機能・高画質ということよりも、とにかく安いテレビを作って売る戦略で積極的に設備投資し、欧米に積極的なマーケティングをかけ、日本メーカーのシェアをどんどん奪っていきました。

 

 一方、その間、日本のメーカーはと言うと、どちらかというと、国内の消費者向けに、多機能・高画質を謳ったテレビを売り出していました。

 

 結果として、世界では全く売れないテレビメーカーになってしまい、日立などテレビ製造をやめるメーカーまで出てきました。

 

 今、ソニーやシャープといった国内メーカーは、より画素数の多い高画質大型テレビに再起をかけていて、フルハイビジョンテレビの4倍の画素数の4Kテレビや、さらにその倍の8Kテレビの開発・販売を強化しています。

 

 ただ、今は何百万円もするテレビを売ったって買う人はおらず、また韓国や台湾、中国のメーカーに価格競争を挑まれたら、果たして勝てるのか、今やってることは無駄になるんじゃないか、という懸念もよく聞かれます。

 

 メーカーとしたら、今さら薄利多売のような商売をしても韓国メーカーのシェアを奪えるわけもなく、テレビ製造撤退か高画質路線を突き進むかの選択しかないのかな〜、とも思います。

 

 でも、私は今回の浮世絵展を見て、日本人の文化的DNAというものがあるのなら、おそらく、ビジュアル的なものに対する飽くなき追求、といったものがあるんじゃないか、と思ったんです。

 

 日本には長らく文字というものがなく、中国から漢字を輸入して日本語にあてはめました。ひらがなやカタカナも、漢字から作られたものです。

 

 だから、日本人というのは、伝統的に視覚情報(絵とか写真)優位の民族性があるんじゃないか、と考えたんです。

 

 浮世絵だって、情報を伝えるだけなら、墨摺絵や丹絵でも十分なはずです。でも、ビジュアルの飽くなき追求をしたのが、春信の多色摺の錦絵で、これはまさに江戸時代の4K・8K化だったのではないか、と思うんです。

 

 今、世界の潮流としては、テレビはフルカラー化・デジタル化されて品質差が少なくなり、普通に見てる分には画質もなんら支障はなく、それならより安い方を買う、となっています。

 

 でも、言わばガラパゴス化していた江戸の浮世絵も、明治維新で海外に知れ渡ると、ゴッホやモネ、ロートレックといったヨーロッパの画家たちにも影響を与えるほどの衝撃を与えました。

 

 日本の家電メーカーも、なんとか頑張って技術を蓄積して、世界の潮流が反転するまで持ちこたえて欲しいな〜、とは思ってるんですが、グローバル化した経済の中で、そんな悠長なことは言ってられないんでしょうかね〜^^;;