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ソチオリンピックの感想

平成26年(2014年)3月4日(火)

 第22回冬季五輪ソチ大会が、17日間の熱戦を経て閉幕しましたね〜。ウインタースポーツにはあまり縁のない私ですが、今回のオリンピックも、随所に感動と興奮を味わうことができました。

 

 開会前は、テロの危険性も指摘されましたが、何事もなく無事に終わり、やっぱりスポーツって、政治的な問題を乗り越えて、人々を一つにする、人類が生み出した最高のカルチャーのひとつだな、なんて感じました。

 

 日本人選手もがんばりました。メダル獲得数は、冬季五輪では1998年の長野大会(10個)に次ぐ8個でした。男子フィギュアスケートで初の金メダリストとなった羽生結弦選手、41歳で銀メダルを獲得したスキージャンプの葛西紀明選手、スノーボード女子で初のメダリストになった竹内智香選手をはじめ、メダルは獲得できなかったものの最後の挑戦となったスキーモーグルの上村愛子選手などなど、日本中に感動を与えてくれましたよね〜。

 

 今回の大会で、一番の話題になったのは、何と言っても女子フィギュアスケートの浅田真央選手ですよね。世界トップレベルの技術を持ち、金メダル候補でしたが、個人ショートプログラムではミスを連発、結果は55.51点、16位という低得点に終わり、日本のみならず世界中を驚かせました。

 

 しかし、それでめげるような選手ではありませんでした。翌日のフリーでは、自己最高点の142.71点をたたき出し3位、総合でも6位入賞という快挙でした。少しの失敗で崩れるような選手ではなく、どんな状況下でも安定した成績を残せるという、彼女が真の一流アスリートであることを証明した瞬間でした。

 

 そして、ショートプログラム後のとある講演で、東京五輪組織委員会会長でもある森元首相がした発言も物議を醸しましたよね。

 

 でも、ネットでいろいろ見てますと、森さんの発言が全文書き起こしされていて、それを読むと、報道されているのとはちょっと違う印象も受けます。

 

 確かに、ミスをした直後に「見事にひっくり返っちゃいましたね。あの子、大事な時には必ず転ぶんですよね。なんでなんだろうなと。」などという発言はデリカシーに欠けたものかもしれませんが、マスコミやネット上で言われている、アスリートに対する尊敬や愛情が欠けているとか、そこまでの感じは私は受けませんでした(でも、素朴な疑問なんですが、浅田選手って、これまでも大事な時に必ず転んでたんですか?フィギュアスケートはそんなに詳しくはないんですが、女子で初めて3回転半ジャンプ飛んだり、いろんな大会で何回も優勝しているイメージがあったので、森さんが何を指してそう言ったのか、よくわかりませんでした)。

 

 どちらかと言うと、浅田選手に親近感を持っていて、身内に対する感情、孫に対する感情に近いのかな、と思いました(むろん、そのような感情を、五輪組織委員会会長という立場の人が、公の場でさらけ出していいのか、という議論があるのは分かります)。

 

 もちろん、これが、10代の中学生や高校生の選手なら、「えー、こんなとらえ方する大人もいるんだー、ショックー」って感じで落ち込んでしまう人もいると思いますが、浅田選手は23歳の大人で、アスリートとしての研鑽も積んでいるので感情のコントロールもできるだろうし、大学4年生ということですので、社会を客観視できる学識も身につけていると思います。本人への影響もそんなになかったんではないかなー、と思いました。

 

 むしろ、講演の発言の一部を大々的に取り上げ、いわば世間に拡散するマスコミの報道の方が選手に与える影響が大きく、世間が騒げば騒ぐほど、選手の精神的な負担になるという、そういう二次被害が起きる可能性の方が問題のような気もしました。

 

 朝日新聞の2月22日付け夕刊のコラムで、編集委員の西村欣也さんが森さんの発言を取り上げてました。西村さんは、スポーツに関するコラムをそれまでもたくさん載せていて、私はいつも「なるほど〜」と感心しています。

 

 それで、森さんの発言について、こんなことを書いていました。一部を抜粋します。

 

 リスペクトすべきアスリートに対し、日本でとんでもない発言をした人がいる。東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相だ。フィギュア団体について「負けると分かっていた。浅田真央選手を出して恥をかかせることはなかった」。ショートプログラムで16位だった浅田選手に「見事にひっくり返った。あの子、大事な時には必ず転ぶ」。

 アスリートに対し尊敬の念がかけらも感じられない人物に、東京五輪の組織委員会会長を任せておいていいのだろうか。(2014年2月22日付け朝日新聞夕刊コラム「結晶」より)

 

 当然、森さんの発言のすべてを見聞きした上での論評だと思いますが、これでは、ド素人の言論人である、私のような一般人ブロガーがブログで書くような言説と何ら大差のないレベルだと思います(変に自信持っちゃうじゃないですか〜、この程度でいいのかと…)。

 

 森さんは、団体戦の種目の一つのアイスダンスは日本人でできる選手がおらず、団体戦で日本は勝てないと分かっていた。それなのに、浅田選手が3回転半ジャンプをすれば3位くらいにはなれるのではないかという淡い期待を持ち、無理に浅田選手を出した結果、転倒してしまい、その心の傷が個人戦にも影響してしまった、ということを指摘しています。当たり障りのないことを言ってればいいはずの五輪組織委員会会長にしては、結構踏み込んだ発言だと思います。

 

 もし、西村さんがスポーツジャーナリストであるならば、森さんにアスリートへの敬意があるかどうかという主観的・感情的な論評ではなく、日本スケート陣の戦略は適切だったのかを掘り下げて分析し、森さんの指摘の真偽、あるいは是非を論じるべきではないか、その上で、森さんが組織委員会会長にふさわしい人物なのかどうかを見極めるべきではなかったのかと、コラムを読んで感じたのでした。